情熱効果あり
哲志先輩を意識してしまった私から出た声は自分でもびっくりするくらい大きな声で、2人しかいない薬局に響いた。

恥ずかしい。


「麻衣、顔が赤いよ」


「言わないでください」


恥ずかしさで体温が急上昇したのは、もちろん自分でも分かる。

だけど、指摘されるともっと恥ずかしい。


「帰ります…」


「待って」


裏の出入り口に足を向けたのに、呼び止められる。

止まらないで、このまま行きたいのに…体は止まる。哲志先輩の方を向く。背中を向けたままだとまた危険かもしれないから。


「な、何ですか?」 


少し声が震えた。


「そんな警戒しなくても…別に襲わないから。ご飯、一緒に食べない?焼き肉を食べたい気分なんだけど」


「焼き肉?」


「ん、行こう」


「はい」


私も焼き肉が食べたい気分だったから、ついあっさりと賛成してしまった。
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