情熱効果あり
「この後、予定ないだろ？のんびりしていっていいよ。後で送るし」


特に予定はない。だけど、のんびり出来る気分ではない。

返事をしないで、黙々と食べていた。


「ごちそうさまでした。美味しかったです。お皿は洗いますね」


「うん、ありがとう」


何も話さないで、向かい合っているのは気まずい。返事を催促されても、答えが出てないから、出来るだけ距離を置きたかった。

スポンジに洗剤を付けて、泡立てる。洗うものは少ししかない。鍋とフライパンは既に洗ってあった。


カチャ


最後のお皿を洗い終わって、拭く作業に移る。この後、どうしようかな。予定はないけど、帰りたい。

この場から去りたい。


フワッ…


後ろから手が伸びてきて、包み込まれた。


「あの！哲志先輩…」


布巾と皿を持ったまま、身動きがとれない。下手に動いたら、皿が落ちそう。
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