情熱効果あり
「クスクス。2人とも仲直りしたのは良いけど、仕事してね。これから混むわよ」


局長に笑われながらも注意されて、私たちは私語を慎んだ。

ミスを許されない作業だ。量を少し間違えただけで命に関わることもある。


哲志先輩を見ている場合ではない。余計なことは考えないで、仕事に集中させる。

最近寒くなってきたので、体調を崩す人が多い。患者が休みなくやってくるので、終業時間まで忙しかった。


「お疲れ様でしたー」


「哲志くん、よろしくね。お先に」


今日の施錠当番は哲志先輩。ロッカーを片付けていて少し遅くなった私はみんなが帰って行く声を聞いて、急いだ。


「お先に失礼します」


哲志先輩はまだパソコンで入力作業をしていたから、すぐに背中を向けた。


「送るから少し待っていて」


「でも、自転車で来ているので…」


「いいから、待っていて」


「はい…」
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