情熱効果あり
私は待合室のまだ閉めていなかったカーテンを閉めてから、長イスに座った。

待合室の隅に置いてある雑誌を手に取って、めくってみるけど、全然内容が頭に入らない。頭に浮かぶのは、すぐそこにいる哲志先輩のことだ。

視界に入るからいけないんだと思った私は、見えない場所に体をずらした。


静かな室内はキーボードを叩く音と雑誌をめくる音しか聞こえない。


そろそろ答えを出す?なんて返事をしたらいい?

いつまでも保留しておけない。きっと返事を待っている。


「麻衣、帰るよ」


見えないところから呼ぶ声が聞こえて、雑誌を閉じて立ち上がった。


「ご飯、一緒に食べれる?」


「あ…はい。大丈夫だと思うけど、家に連絡するので、ちょっと待ってください」


お母さんにメールを送った。多分もう用意をしてあったと思うけど、了解してくれた。


「え?家で食べるんですか?」

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