情熱効果あり
レストランではなくて、スーパーに着いたので驚いた。


「うん。2人だけのほうがいいからね」


2人だけ…なんだか逃げ出したい気分だ。やっぱり真っ直ぐ家まで送ってもらえば良かったかも。


ギュッ


突然手を握られて、哲志先輩を見る。


「え?なんで…」


「また逃げ出されても困るからね」


いつの間に私の心情を読めるようになったのだろう。そんなに分かりやすい顔をしていたのだろうか。

繋がっていないほうの手で、自分の頬を軽く叩いた。

引き締めないといけない。


食材を揃えて、レジへ清算に行ったところでやっと手が離れた。


「寒い」


「風が冷たいな。急ごう」


哲志先輩に引っ張られて、車まで小走り。


ピタッ


「キャッ」


「顔は冷たくないな」


「大丈夫です」


スーパーの出入り口から車まで30mほど。たったこれくらいで体は冷えない。

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