情熱効果あり
「拓実がさ、振られた理由を聞いたのだけど、理由は言ってもらえなかった、ただ別れようと言われただけだって、落ち込んでいてね」


理由も言わないで、別れるなんて薄情過ぎると思ったそうだ。


「理由はありましたよ。それにちゃんと話しましたよ」


理由もなく別れることはしない。それに、理由を言わないで別れることもしない。


「どんな理由?」


「…最初は良かったんですよ。大事にされていると感じましたし…」


今になって、部外者に別れた理由を言うなんて、気分が重い。

せっかくのオムライスの味が消えていってしまう。半分食べたところで、手は止まっていた。


けれど、哲志先輩はどうしても理由が知りたいようだ。


「重かったんです。拓実が想ってくれる気持ちが…気持ちの重さの違いを感じて…」


「拓実のことがそんなに好きではなかったって、いうこと?」


「そうです…」
< 167 / 270 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop