情熱効果あり
交際を申し込んできたのは拓実のほうだったけど、私もそれなりに好きになった。でも、私はただ好きというだけで、結婚とかそういう未来を想像出来なかった。


「結婚しようって、言われたんです。朝から夜までずっと一緒にいたいと…でも、私は一緒に暮らすということが考えられなくて」


拓実は会うたびに結婚の話をしていた。家具を見に連れて行かれたこともある。盛り上がる拓実と正反対に私の気持ちは冷めていってた。


「まだ学生だったものな。結婚を考えられないのは当たり前だよ。拓実もさ、焦らなければよかったのにな」


「はい…」


今だったら、結婚のことも考えて付き合えるかもしれない。でも、あの時は考えられなかった。


「拓実は昔から結婚願望が強かったからな」


「もしかして、もう結婚してます?」


「うん。子供も2人いるよ」


「幸せなんですね」
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