情熱効果あり
話している間、哲志先輩はずっと私の髪を触っていた。指にくるくる巻きつけたりしている。

真剣に話しているのに、落ち着かない。


「付き合っている人がいるのに、横から奪うことは出来ないから諦めていたんだ。で、別れた時はタイミングを見ていたけど、出遅れてしまってさ…」


働き始めてから、何人か付き合った人がいる。何らかの理由で別れて、また違う人と出会って、付き合った。

とっかえひっかえしているようだけど、それなりにどの恋愛も真剣だった。真剣に見えないと言われたことはあるけど。


哲志先輩はタイミングを逃してばかりで、今になってしまったと苦笑する。

ずっと好きでいてくれたらしいけど、哲志先輩からの好意は全く感じたことがない。やっぱり信じられない。


「今度こそこのチャンスを逃してはいけないと一応俺も焦っているんだよ」


「はい?焦っているんですか?」




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