情熱効果あり
だから頼むなんて、間違っている。でも、私が口出しすることではない。

何で私はここにいるのだろう。この先も聞きたくない話を聞かされる気がする…逃げ出したい。この場にいたくない。


ギュッ


膝の上に置いた手を哲志先輩が握ってきた。私、また顔に出てたかな。

力強くて、優しい手だ。


「美咲、病院やめたんだってな。それに引っ越しもしたらしいな。今、どこで何をしているんだ?」


どこから得た情報だか知らないけど、哲志先輩は美咲先輩の今の状況を心配している。

別れたとはいえ、一度は恋人だった人だから、心配するのは当然のことだろうけど、私の心はズキズキ痛む。


この前から胸が痛くなる原因が分かった…。


「それを聞いてどうするつもりなの?行き場をなくしたかわいそうな私と結婚してくれるの?」
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