情熱効果あり
クンクン

この香り、好きかも。心が落ち着く。


「麻衣。嗅ぐなよ。恥ずかしいから」


「だって、これもあたしの知らない哲志先輩ですよ。なんか落ち着きます。この匂い…」


私はもう一度鼻を動かして、軽く吸い込む。やっぱり落ち着く。リラックス効果がある香りかもしれない。


「麻衣も良い香りがするよ」


「ええ?ちょっと待って…やめてください」


嗅ぐのはいいけど、嗅がれるのはやっぱり恥ずかしい。哲志先輩の言う意味が分かった。

哲志先輩は私の首筋に鼻を近付けてくる。かかる鼻息がくすぐったい。


「夜までまだ時間があるけど、我慢出来ないな」


今度は耳元に息がかかる。


「我慢ですか?」


「うん。顔をあげて」


顔を上げたら、何が待っているのか予想できる。

顔を上げると、近付く哲志先輩と目が合う。ゆっくり目を閉じた。

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