情熱効果あり
哲志先輩がシートベルトを外して、降りようとするから、腕を掴んで止めた。
「待って。今、誰もいないよ。お父さんもお母さんも蓮と蘭と一緒に動物園へ出掛けたの。あの…挨拶するつもりだった?」
一瞬動きの止まった哲志先輩は座り直す。
「じゃあ、今度改めて挨拶させてもらうよ」
「でも…何で?」
今まで付き合った人で、進んで挨拶をした人は多分いなかったはず。挨拶をしようと思っていることに誠意は感じるけれど、突然のことに少し混乱した。
「何でって、付き合うのだから、当然じゃないのかな?」
「今までもそうだったの?」
「いや…。なかった」
「え?なかった?」
「まあ、いいや。出るから、シートベルトして」
彼女が出来るたびに、親にきちんと挨拶をする律儀な人かと思ったけど、違うようだ。何だか自分が特別に想われているようで、嬉しくて、少し口元が緩む。
「待って。今、誰もいないよ。お父さんもお母さんも蓮と蘭と一緒に動物園へ出掛けたの。あの…挨拶するつもりだった?」
一瞬動きの止まった哲志先輩は座り直す。
「じゃあ、今度改めて挨拶させてもらうよ」
「でも…何で?」
今まで付き合った人で、進んで挨拶をした人は多分いなかったはず。挨拶をしようと思っていることに誠意は感じるけれど、突然のことに少し混乱した。
「何でって、付き合うのだから、当然じゃないのかな?」
「今までもそうだったの?」
「いや…。なかった」
「え?なかった?」
「まあ、いいや。出るから、シートベルトして」
彼女が出来るたびに、親にきちんと挨拶をする律儀な人かと思ったけど、違うようだ。何だか自分が特別に想われているようで、嬉しくて、少し口元が緩む。