情熱効果あり
「いいですねー」


「香奈ちゃんたちももうすぐでしょ?」


香奈ちゃんは隣りに座る寛太くんを見る。


「そうですねー。準備は進んでいますよ。ねっ?」


「ん、まあ…」


歯切れのあまりよくない返事をする寛太くんは、少々クールだ。

美波ちゃんの相手は寛太くんで、数少ないサークル内でのカップルだ。2人のこんなテンポのあまりよくないやり取りは、大学時代から変わらない。


「寛太は恥ずかしがり屋だからなー。もっとのろけたらいいのに」


「瑞希先輩、余計なお世話です」


からかう瑞希先輩を寛太くんは軽く睨む。甘々な感じの香奈ちゃんとクールな寛太くんは、正反対な性格だからなのか、不思議なくらい合っている。


「わりー、遅れた!哲志、ちょっと詰めて」


哲志先輩を無理やり押し込んで、座ったのは哲志先輩と仲の良い雅樹先輩。


「雅樹せんぱーい!」


「おー、美波じゃないか!元気そうだな」

< 29 / 270 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop