情熱効果あり
美波がカバンを持って、勢い良く立ち上がる。


「みあちゃん、もう帰るの?」


時間は、まだ9時にもなっていない。


「うん。そこの駅で待ち合わせしているの」


「わざわざお迎えに来てくれるんだ。すごーい」


「うん。またねー」


やっぱり新婚さんは違うなー。一時でも離れたくないのだろう。

愛されていて、羨ましい。


結婚間近な目の前の2人もラブラブだ。


「寛太くん。ここは、10時までだっけ?」


「はい、そうです」


気持ちよさそうに酔っている香奈ちゃんは、寛太くんの肩にもたれている。

時折、香奈ちゃんの様子を見る寛太くんは優しい目をしている。愛が溢れているのが、はっきり分かる。


「愛が欲しい…」


「ん?麻衣は今フリーか?寂しいなー」


私の呟きを聞き取った雅樹先輩が唐揚げを頬張りながら、哀れみの目で見る。


「別に寂しくはないですよ」


強がるのも虚しい。
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