情熱効果あり
「そのうち麻衣にも良いヤツが現れるよ。焦るな!ハハハッ」


「雅樹先輩、スマホが光ってますよ」


テーブルに置いてあるスマホを手に取って、操作する雅樹先輩の表情が歪む。


「ゲッ…。俺、帰るわ…」


「えっ?どうしたんですか?」


「子どもを風呂に入れなくちゃならなくなった」


今夜は奥さんが入れてくれる予定だったのだけど、子どもが「パパがいい!」と駄々をこねていて、奥さんが困っているらしい。


「パパ大好きなんですね。へー、雅樹先輩でも、ちゃんとお父さんしているのですね」


「まあな。じゃ、悪いけどお先に~」


すっかりお父さんの顔になった雅樹先輩は、あっさりと愛する家族の元へと帰って行った。


家族愛もいいなー。


「愛が欲しい…」


「麻衣…。お前、そんなに飢えているのか?」


今度は瑞希先輩が哀れんでくる。
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