情熱効果あり
「燃える恋がしたいんです」


「燃える恋?アハハッ!志は熱くて立派だな。まあ、頑張れよ」


肩を叩かれ、よく分からない応援をされた。


欲しいと言っても、買えるものではないし…どう手に入れよう?

本気で悩む。


‘ひだまり‘のマスターに相談してみようかな。きっと目を輝かせて、聞いてくれる。

適切なアドバイスをくれるかどうかは謎だけど。


「ん、まあそうだな。とりあえずグルッと周りを見渡してみろ」


「えっ?グルッと?」


グルッと見渡す?何か見えるものがあるのか?

いい男でもいるのか?


私は立って、くるりとゆっくり回る。馴染みの顔ぶれが揃う飲み会だ。

いつもと変わらない光景以外、何も見えない。


バチッ


「何かご注文でしょうか?」


近くのテーブルを片付けていたイケメン店員と目が合ってしまい、声を掛けられる。


「ううん、何もないよ」
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