情熱効果あり
本当に何もない。肩を落として、座り直した。


10時になり、お開きになる。

以前は当たり前のように二次会、三次会があったけど、ここ1年くらいはなくなっている。

みんな忙しいようで、慌ただしく帰って行く。


土曜日の夜、特に急いで帰る必要はない。だからといって、何かをする予定もない。


帰るか…。


「麻衣…」


「はい?」


「帰るのか?」


私を呼んだのは、哲志先輩。今日、初めてまともに会話したような気がする。


「そこ、寄っていく?」


そこと親指をグイッと向けたところは、深夜まで営業しているコーヒーショップ。


「えっと…何でですか?」


「何かまだ帰りたくなさそうな顔しているから」


私の表情を読み取った哲志先輩は、かなり飲んでいたように見えるが、全然顔色が変わっていない。

だけど、帰りたくなさそうだからと誘う場所がコーヒーショップって…。


本当につまらない。

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