情熱効果あり
哲志先輩と何かが起こるかもなんて期待はしていないけど、女を誘う文句としては、つまらなすぎる。


哲志先輩も私とどうにかなるつもりはないのだろうけど。


「どうするの?行くの?行かないの?」


「あ…」


哲志先輩は意外に気が短いことを思い出した。


「…行かないなら、帰るぞ」


「あ、いえ、行きます!」


駅の方向に体を向ける哲志先輩の腕を慌てて、掴んだ。


「アイスなんだ…」


「はい!美味しいですよ。やっぱりバニラが一番ですよねー」


私の前でコーヒーを飲む哲志先輩は訝しげな顔をしている。

ここでアイスを食べる私がおかしい?

だって、バニラアイスという文字がメニュー表の中で主張しているように見えたから、つい頼んでしまった。


「まあ、うまいならいいか…」


「そうですよ!火照った体を冷やすのに最高です」

< 36 / 270 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop