情熱効果あり
「先輩、着きましたよ。起きてますか？」


マンション前に到着した。呼んでみたけど、起きる気配がない。

爆睡？


「哲志せんぱーい？着きましたよー。起きて…」


肩に触れて、揺らしてみる。


「ん？…ああ…俺んち？」


「はい。そうですよ」


「悪い。寝てたな…」


「別にいいんですけど…あの…」


目が覚めた哲志先輩はなぜか起こすために触れた私の手を握ってきた。

伝わってくる体温に心臓が高鳴る。


「ん？…ああ…これ？」


困惑している私の視線の先に気付いて、握る手を少しあげる。


パッ


「おやすみ…」


何もなかったように握っていた手を離して、降りて行った。

今のは、酔っていたから？寝ぼけていたから？


一瞬どんな展開になるのか？と期待してしまった私は間抜けだ。

哲志先輩では、何も起こらない。やっぱりつまらない人だな。


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