情熱効果あり
在庫を確認していた哲志先輩の後ろを通った時、呟くような声が聞こえた。


「はい…すみません…」


今日は1日おとなしくしていよう。遅刻しなかったとはいえ、ギリギリ到着の私は肩身が狭い。


「珍しいね」


「はい…目覚まし止めてまた寝てしまったみたいで…」


「ふーん」


ふーんって…一応落ち込んで反省しているというのに、あっさりと会話終了させられた。

返事が短いのは、いつものことだから、特別気にはしないけど。

一週間前にあったOB会後のあの時のことについては、あれから一度も触れていない。


哲志先輩は酔っていたから、記憶にないのかもしれない。それとも、意識して触れないようにしているのかもしれない。


「おはようございます!お預かりしますねー」


今日もいつもと変わらない1日が始まる。
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