情熱効果あり
「あの、どこかでお会いしたことありませんか?」


「んー、俺も同じことを思っていたんだけど」


「ほら、2人とも早く食べてね。昼休みが終わっちゃうわよ」


局長に急かされる。


「あ…朝の危ない人だ」


「えっ?」


藤田さんが思い出して、顔を上げる。

危ない人って、私のこと…?危ないことなんてした?

思い出そうと藤田さんの顔をじっくり見る。朝とは今日の朝かな…


「あ!朝の怖い人!」


「危ない人に怖い人って、あなたたち一体どんな知り合い?」

怪訝そうな顔で聞く局長に説明した。説明するほどの知り合いではないけど。


今朝、自転車でぶつかりそうになり、睨まれたというだけだし。


「アハハー。それで、怖い人なのね。ゆきくんの怖い顔、私も見てみたいなー。ねえ、ちょっと睨んでみてよ」


「いや、俺怖い人じゃないし。朝は急いでいたから、苛立ってはいたけど…」
< 49 / 270 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop