情熱効果あり
階段を上がってすぐの右側にあるのが、子供部屋で、ドアが半分くらい開いていた。そっと覗いてみる。


哲志先輩は本を読んでいた。右隣に蘭が座って、真剣な顔で聞いている。蓮は…哲志先輩の背中に乗っていた。

はしゃいでいるのは、蓮の声だった。必死によじ登っては、落とされているのに、楽しそうに笑っている。

落とす哲志先輩も嫌がっているのではなくて、楽しんでいるようだ。
蓮を落とすたびに朗読が中断するから、蘭が「早く」とせがんでいる。


なんとも微笑ましい光景で、良いお父さんになりそうだ。


「あ、まいちゃん!」


こっそり覗いている私に気付いたのは蘭だった。


「もうご飯だよ。降りておいで」


「うん!さとしくん、行こう!」


「うん、蓮…降りろよ」


まだよじ登っていた蓮をおろした。


「クスッ。哲志先輩、ご苦労様ですー」
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