情熱効果あり
蓮と蘭がお行儀良く座って、待っていた。


「いただきます!」


両手を合わせて、皆で食事前の挨拶。こういう光景は心がほんわかと温かくなる。


「いいね。みんなで揃うのって」


「でしょー?平日は恭介が遅いことも多いから、休みの日は揃うようにしてるのよ」


「いいですね」


あまり人の話に同意しない哲志先輩までもが良いと言う。


「哲志さんはお付き合いしている方がいるんですか?結婚の予定とか?」


「いえ、相手もいないし、予定もないですね。でも、こういう家庭に憧れます」


哲志先輩はお姉ちゃんを質問にサラッと答えて、目の前にある大皿から、サラダを取り分けた。


「へー、結婚願望あるんですね」


哲志先輩が暖かい家庭や結婚に憧れるなんて意外だった。

でも、ごく普通の男である哲志先輩なら当然のことなのかもしれない。
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