HAIJI



「まるでチェスだな」
「なんとでも」


 少年Aが苦笑を溢す。
 そして、ゆっくりと瞬きをした。


 真っ赤な夕日が、一日の最後を全うするかのように眩しく燃える。
 太陽の、今日という一日が死ぬ。
 そして、また明日には新しい一日の太陽が生まれるのだ。

 太陽というそのものはそのままで、死んでは生まれ、生まれては死ぬ。
 国も同じではないだろうか。


「俺は、」


 少年Bは、少年Aの目に覚悟の火を見た。
 試したのは少年Bの方だった。
 勿論、自分の答えを濁した時点で既にそれが答えのようなものであったのだ。

 チェスだ。

 仕掛けるに値する相手であるかどうか。
 面白い、と、二人の少年が思った。


 そしてチェス盤を動かしたのは、少年Aである。


「この国を壊したい」




 部屋が一気に陰っていった。



 まるでこれからの日本国を予見するかのように──

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