HAIJI
空に向かって息を吐き出す。
白く揺らめく空気は昇り始めた太陽に瞬いた。
“何があっても、何を言われても、本心がどうであれ、外の人間になりきれ”
現実を見に来た。
わかっていたことだ。
最初から落ち込んでどうする。
「……っし、」
人知れず気合いを入れ直した俺は、また歩き始めた。
その後、色んなことが吹っ切れた俺は、デパートで帽子、靴、下着を含めた全身コーディネートで服を購入。
いままで着ていた服と上着はコインランドリーで全て洗濯をした。
そのまま銭湯にいって全身を綺麗に洗い流し、備え付けのドライヤーで髪をしっかりセットする。
これで電車も乗れるだろう。
できれば折り畳み式の自転車が欲しい。
行動範囲がだいぶ広がる。
実は驚いたことに、持っていたキャッシュカードはまだ使用可能になっていた。
キャッシュカードは俺名義になっていて、もしかしたら解約する前に育児放棄の手続きをしてしまったのかもしれない。
親には高等科を卒業したら自立するように言われていたから、ある程度生活できる分の蓄えがある。
──自立。
ふと、違和感が生まれた。
「……、」
キャッシュが止まっていないということは、俺が捨てられた理由はお金ではないということは間違いないだろう。
もっと別の理由がある。