HAIJI

「で、話って?」


 昼前に雪掻きが終わって、大和はそのまま一偉の部屋へと向かい、俺はその後を追った。
 ドアを開けると同時に話を切り出される。
 俺の後ろからは一偉がついてきていた。


「ああ。あの、大和がいつも持ってくる食べ物とか生活品って、どっから出てきてる?」
「うん?なんで?」
「……や、どうせ持ってくるなら、現金でもらうことってできないのかと思って」
「……、」


 椅子の上で寛ぎ体勢になっていた大和は、俺の言葉に一瞬動きを止めると、机に腰掛けていた一偉を見た。


「佐々来、一人で外に出ててね。1ヶ月帰って来なかった時はさすがに死んだと思ったけど、ちゃんと帰ってきたんだ。皆ビックリしてたよ」


 一偉が笑って説明してくれた。


「持ってきてくれるのは助かるけど、もう少し自立して、効率よくやれるやり方があると思うんだ。大和もいつでも来れるわけじゃないみたいだし、俺のカードに入れてくれたら必要なものは自分で買う。それなら大和の手を煩わせなくていい」
「カードって、どうやって下ろすの」
「1ヶ月外に居たっていったろ。普通に銀行もコンビニも行ける」


 鳩が豆鉄砲喰らったみたいな顔をする大和。
 一偉は笑って肩を竦めた。


「現金さえあればここは俺がなんとかする。ウチに来る労力を、他のスラムに向けてあげられるだろ」


 そこまで言うと、大和が突然吹き出した。

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