地の棺(完)
「そんな……先生が真紀ちゃんを……」
「貴様がっ」
シゲさんが神原さんに飛びかかろうとした時、穴の中の闇が動いた。
ぶわっと歪む視界。
それはシゲさんに向かって大きく膨らみ、彼の体を包み込んだ。
「なっ!?」
「シゲちゃんっ」
快さんが駆け寄ろうとして、後ろに仰け反る。
そして聞こえるシゲさんの絶叫。
「シゲさんっ」
雪君の手を振り払い、シゲさんの元に行こうとしたわたしの右手を誰かが掴みんだ。
振り向くと、初ちゃんが無言で首を横に振る。
シゲさんと包む黒い塊は、キーキー、かさかさと耳障りな音をたて、シゲさんの喉を枯らすような悲鳴を飲み込んでいく。
「すごいでしょう。生き神らしくいえば、あれは使い魔っていうんでしょうか」
この地獄の光景を目にしてもなお、他人事のような口調の雪君を振り向き睨みつける。
「雪君、あなたが?」
「そうですよ。あなたに送ったこれ」
そういって取り出したのはわたしが持っているものと同じ鍵だった。
「これはこの巣穴へと繋がる鍵であり、使い魔たちを使役するために使用した笛の役目もはたすんです。
あなたがネックレスを通していた小さな穴、あれにうまく唇をあてることで人間には聞こえない超音波を発生させることができるんです。
これが?
わたしは手にした鍵を懐中電灯で照らした。
次第に動きが鈍くなってきたシゲさんに向い、鍵を口にあてて吹いてみたけれど、蝙蝠の群れはなくならない。
「あはは。無理ですよ。コツがいるんです」
「貴様がっ」
シゲさんが神原さんに飛びかかろうとした時、穴の中の闇が動いた。
ぶわっと歪む視界。
それはシゲさんに向かって大きく膨らみ、彼の体を包み込んだ。
「なっ!?」
「シゲちゃんっ」
快さんが駆け寄ろうとして、後ろに仰け反る。
そして聞こえるシゲさんの絶叫。
「シゲさんっ」
雪君の手を振り払い、シゲさんの元に行こうとしたわたしの右手を誰かが掴みんだ。
振り向くと、初ちゃんが無言で首を横に振る。
シゲさんと包む黒い塊は、キーキー、かさかさと耳障りな音をたて、シゲさんの喉を枯らすような悲鳴を飲み込んでいく。
「すごいでしょう。生き神らしくいえば、あれは使い魔っていうんでしょうか」
この地獄の光景を目にしてもなお、他人事のような口調の雪君を振り向き睨みつける。
「雪君、あなたが?」
「そうですよ。あなたに送ったこれ」
そういって取り出したのはわたしが持っているものと同じ鍵だった。
「これはこの巣穴へと繋がる鍵であり、使い魔たちを使役するために使用した笛の役目もはたすんです。
あなたがネックレスを通していた小さな穴、あれにうまく唇をあてることで人間には聞こえない超音波を発生させることができるんです。
これが?
わたしは手にした鍵を懐中電灯で照らした。
次第に動きが鈍くなってきたシゲさんに向い、鍵を口にあてて吹いてみたけれど、蝙蝠の群れはなくならない。
「あはは。無理ですよ。コツがいるんです」