地の棺(完)
「そう……です」
シゲさんの質問の意図がわからない。
それがなんだというのだろう。
「あんた達姉妹、けっこう有名だよ?
不運! 飛行機事故現場に居合わせた妹、目覚めず!
みたいなニュースしょちゅう見たし」
「シゲっ」
真紀さんの制する手をうっとおしそうに払いのけたシゲさんは、わたしの目をじっと見つめた。
「だからさ、いたずらだったんじゃないの?
消印なんてここの島で出せばどうとでもできるじゃん」
「……宛名は、姉の直筆だったんです」
「真似したんじゃないの?
ぶっちゃけ、あんまよく思われてないっしょ。
あんた達家族」
この言葉で、シゲさんが何を言いたいのかわかった。
「秋吉君、やめなさい」
三雲さんが諌める声をあげると、シゲさんは両手を広げ首をすくめる。
立ち上がり、テーブルの上のレーズンロールを手に取るとそのまま食堂から出て行った。
「気にしちゃだめよ、蜜花さん」
桔梗さんが優しい声をかけてくれたが、シゲさんの言葉は胸に痛すぎる。
確かに、わたし達家族をよく思わない人がいるのは事実だ。
わたし達は、遺族の中でも事故の賠償金が桁外れに高額だった。
もちろんわたしの治療費も含まれているのだが、航空会社がイメージ挽回のために、事故現場を目撃した哀れな少女への支援をメディア向けの商材としたためである。
そのことにより、悲劇の家族はマスコミの餌食となった。
多額の賠償金で豪遊している、などとでっち上げられたのだ。
見ず知らずの人間から嫌がらせを受け、遺族会でも肩身が狭かったと聞いている。
でもそれはわたしが眠りについていた間の話。
シゲさんの質問の意図がわからない。
それがなんだというのだろう。
「あんた達姉妹、けっこう有名だよ?
不運! 飛行機事故現場に居合わせた妹、目覚めず!
みたいなニュースしょちゅう見たし」
「シゲっ」
真紀さんの制する手をうっとおしそうに払いのけたシゲさんは、わたしの目をじっと見つめた。
「だからさ、いたずらだったんじゃないの?
消印なんてここの島で出せばどうとでもできるじゃん」
「……宛名は、姉の直筆だったんです」
「真似したんじゃないの?
ぶっちゃけ、あんまよく思われてないっしょ。
あんた達家族」
この言葉で、シゲさんが何を言いたいのかわかった。
「秋吉君、やめなさい」
三雲さんが諌める声をあげると、シゲさんは両手を広げ首をすくめる。
立ち上がり、テーブルの上のレーズンロールを手に取るとそのまま食堂から出て行った。
「気にしちゃだめよ、蜜花さん」
桔梗さんが優しい声をかけてくれたが、シゲさんの言葉は胸に痛すぎる。
確かに、わたし達家族をよく思わない人がいるのは事実だ。
わたし達は、遺族の中でも事故の賠償金が桁外れに高額だった。
もちろんわたしの治療費も含まれているのだが、航空会社がイメージ挽回のために、事故現場を目撃した哀れな少女への支援をメディア向けの商材としたためである。
そのことにより、悲劇の家族はマスコミの餌食となった。
多額の賠償金で豪遊している、などとでっち上げられたのだ。
見ず知らずの人間から嫌がらせを受け、遺族会でも肩身が狭かったと聞いている。
でもそれはわたしが眠りについていた間の話。