地の棺(完)
雷鳴の鳴り響く夜
天を裂くような雷鳴により、目が覚めた。

カーテンの隙間から青白い光が室内に入り込む。

その後、続く轟音。

こんなにひどいものは聞いたことがない。

体を起こして窓に近づく。

格子の隙間から見えた外は、豪雨と暴風により荒れていた。


気まずさの残る食事の後、自室に戻ったわたしは、シャワーを浴びて眠りについた。

疲れからか、気が張っていたからか、眠気が強くて起きていることができなかったからである。

ほのかにミントの香り漂う室内は心地よく。

深く眠っていたのか、いまいち頭がすっきりしない。

ベットに備え付けてある目覚まし時計を見ると、時刻は一時をさしていた。

窓に叩き付ける雨の音や唸るような風の音は、わずかだが恐怖心を抱かせる。

これが自宅ならばそんなことはないのだけれど。

心細さからベッドカバーを体に巻き付け、部屋の隅に丸くなった。

雷の音が、体に響く。

稲光を見るたびに、目は冴え、頭がはっきりとしてきた。

落ち着くまでは眠れそうにないな、なんて思っていると、不意に人の声が耳に届く。

叫ぶような、怒鳴っているような?

扉の前に移動して、表面に片耳をつけた。

気のせいだろうか?
いや、確かに……男性の声が聞こえた。

なんて言っているかはわからない。

でも誰かにすごく怒っているみたいだ。

こんな時間に、何に対して怒っているのか。

一人が心細くはあったが、喧嘩をしているならば出ていくわけにもいかない。

雷も怒声も激しさを増していく。
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