地の棺(完)
「真紀さん……」
少し前まで一緒にいたはずの彼女が、何故こんなことに。
わたしは雪君の制止を振り切って、真紀さんに駆け寄る。
助けなきゃ。
そう思ったから。
でも……
その凄惨な姿を直視できず目を背ける。
口元を抑えたまま後ろに倒れかけたわたしを雪君が支えてくれた。
ガラスの破片が散らばる芝生の上に横たわった真紀さん。
だらりと投げ出された両手の指は、すべて本来とは違う向きに曲がり、所々骨が露出している。
口から流れる大量の血液は、体がびくびくと痙攣する動きに合わせ吐き出され続けた。
恐怖。
今この場を支配しているのはその言葉しかない。
逃げ出したい感情と、真紀さんを放っていてはいけないと思う気持ちが心の中で争う。
でも再び真紀さんを勅使することはできなくて、体は震え、歯がちがちとぶつかり音をたてた。
わたしの両腕を掴み支えてくれていた雪君は、眉間に皺を寄せ、真紀さんを見ている。
この支えがわたしの心を体につなぎとめてくれていた。
その時、勢いよく玄関が開く音がして、シゲさん、快さん、神原さんが飛び出してきた。
三人は真紀さんを見つけ足を止める。
神原さんは顔をそらし、シゲさんは引き攣った顔でわなわなと震え、二人とも見るからに狼狽していた。
しかし快さんは取り乱すこともなく、冷静に真紀さんに近づき、その顔を覗き込む。
真紀さんの体は痙攣も止め、ぴくりとも動かない。
少し前まで一緒にいたはずの彼女が、何故こんなことに。
わたしは雪君の制止を振り切って、真紀さんに駆け寄る。
助けなきゃ。
そう思ったから。
でも……
その凄惨な姿を直視できず目を背ける。
口元を抑えたまま後ろに倒れかけたわたしを雪君が支えてくれた。
ガラスの破片が散らばる芝生の上に横たわった真紀さん。
だらりと投げ出された両手の指は、すべて本来とは違う向きに曲がり、所々骨が露出している。
口から流れる大量の血液は、体がびくびくと痙攣する動きに合わせ吐き出され続けた。
恐怖。
今この場を支配しているのはその言葉しかない。
逃げ出したい感情と、真紀さんを放っていてはいけないと思う気持ちが心の中で争う。
でも再び真紀さんを勅使することはできなくて、体は震え、歯がちがちとぶつかり音をたてた。
わたしの両腕を掴み支えてくれていた雪君は、眉間に皺を寄せ、真紀さんを見ている。
この支えがわたしの心を体につなぎとめてくれていた。
その時、勢いよく玄関が開く音がして、シゲさん、快さん、神原さんが飛び出してきた。
三人は真紀さんを見つけ足を止める。
神原さんは顔をそらし、シゲさんは引き攣った顔でわなわなと震え、二人とも見るからに狼狽していた。
しかし快さんは取り乱すこともなく、冷静に真紀さんに近づき、その顔を覗き込む。
真紀さんの体は痙攣も止め、ぴくりとも動かない。