素直になれない者同士の恋
「……嘘じゃないよ、本当。」
そんな私を見て夏生は少し冷静になったのか、真剣な目を向けてくる。
「罰ゲームとかじゃなくて?」
「違う。」
なかなか信じない私に、ムッとしている。
でも、こんなの予想外すぎて……。
「………だって」
「じゃあ、キスすれば信じる?」
そう言って、グッと顔を近づけてくる。
普段クールなくせに、こんな時ばかり行動的な夏生に動揺を隠せず、身体が動かない。
まるで、金縛りにあったように。
しかし、あと数ミリで唇が触れ合うというところで、ドアが勢いよく開いた。