素直になれない者同士の恋
「お前らこそ、なんでそんなに近ぇの?」
そう言われて見れば、確かに恋人でもない限りこの距離は不自然だと思った。
慌てて夏生から離れようとすると、腰に腕を回されて引き戻されてしまう。
え?
びっくりしたように夏生を見れば、いずみを見ながら意地悪な笑みを浮かべている。
あ……、これはいずみをからかっているときと同じ顔。
「あーあ、いいところだったのに。邪魔すんなよ。いずみ」
「てめー、調子に乗るなよ。」
そう言ういずみの目は冷たく鋭い。
やばい、夏生といずみは普段からあまり仲が良くないけれど今の2人はそれ以上に険悪だ。
「ちょ、夏生なに考えてるの?」
「沙南、少し黙ってて。」