素直になれない者同士の恋






そんな私たちを見て、夏生はため息をついた。




「はぁ……やっと素直になったな、まったく世話の焼ける。」



そうサラリと爆弾発言をする夏生は、少し疲れが浮かんで見えた。



思わずいずみと顔を見合わせた。


潤んだ瞳越しに見るいずみの表情もポカンとしている。


たぶん、私といずみは同じ心境だろう。




「……夏生、どーいうこと?」


「お前ら顔を合わせれば、意地張り合ってんのか知んないけどケンカするし。お互い素直じゃないからオレが一芝居打ってやったんだよ。」



なかなか骨が折れたけど、と言いながらベッドから降りて肩を回す夏生。



「あ? てことはお前は沙南のこと……」


「うん、恋愛感情は特にないよ。」



いずみの言葉を繋ぐように夏生はそう言ってのけた。



考えがあるって、このことだったんだ…。



< 16 / 25 >

この作品をシェア

pagetop