素直になれない者同士の恋
そんな私たちを見て、夏生はため息をついた。
「はぁ……やっと素直になったな、まったく世話の焼ける。」
そうサラリと爆弾発言をする夏生は、少し疲れが浮かんで見えた。
思わずいずみと顔を見合わせた。
潤んだ瞳越しに見るいずみの表情もポカンとしている。
たぶん、私といずみは同じ心境だろう。
「……夏生、どーいうこと?」
「お前ら顔を合わせれば、意地張り合ってんのか知んないけどケンカするし。お互い素直じゃないからオレが一芝居打ってやったんだよ。」
なかなか骨が折れたけど、と言いながらベッドから降りて肩を回す夏生。
「あ? てことはお前は沙南のこと……」
「うん、恋愛感情は特にないよ。」
いずみの言葉を繋ぐように夏生はそう言ってのけた。
考えがあるって、このことだったんだ…。