素直になれない者同士の恋
「ちょっと、こっちに来ないでバカ!」
「はあ? ワケわかんねえ。」
私が枕を掴んで投げると、いとも簡単にキャッチしながら怪訝な顔をするいずみ。
だめ、まともに顔が見られない。
私が顔を背けるとぐいっと引き寄せられた。
「………え、お前。」
「なによ、バカ。」
いずみが驚いた顔をする。
それは、私の頬が赤く染まっているからだろう。
もう、いっぱいいっぱいの私は何も考えられなかった。
「はあ……ほんと素直じゃねえな。」
呆れ顔をしながら、いずみが笑う。
「アンタに言われなくないし。」
そう悪態をつきながらも顔を見られたくなくて、いずみの胸に顔をうずめた。