あの人は俺たちの兄だった。

それから30分ほどだろうか、男はやっと殴るのをやめて奥に引っ込んでいった

体のあっちこっちが痛む



「梓兄、ごめんっ俺・・・いつまでたっても何もできないっ」

「気にするな、葎。これが俺の役目なんだよ。葎が無事なら俺はどうってことないよ」

「ちょっと待ってて、手当しないと」



葎は慌てながら救急箱を持ってくる

とりあえず上を脱ぐとあちこちが赤くなっている

前に殴られて青黒くなってるところにかぶるように赤くなっているとこもある

口の近くも切れて地味に痛い

ったく、あの男は手加減というものを知らない



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