あの人は俺たちの兄だった。
「そうよ、あの子の子供だからこそ憎くなるのよ!あんたたちのその瞳、まるであの子を見てるみたいで嫌になる。でも、嫌いだったあの子は私の大切な妹だったからせめてその形見子であるその子たちを守りたかったのに・・・なのにその眼に見られると・・・怖い、いやになる耐え切れないのよ!」
この人は時々優しいあの義母に戻ってくれる
義母も苦しんでるんだ
でも、俺たちにしてみれば殴る義母が焼き付いて優しい義母すら拒絶してしまうようになった
「あんたが、おばさんがつらいのも苦しいのもわかるよ。でも、この子たちは母さんとは違うだろ。お願いだから・・・この子たちを大切に自分の子のように思ってもう殴らないで、傷つけないで」
そういうお兄ちゃんの言葉に義母はすすり泣いた
でもきっとまた、数日たてばもとに戻ってしまうんだ
「ごめんね、梓、葎。兄ちゃんが一緒にいてやれなくて、こんなことしかできなくて。
強く生きるんだよ、きっとまた迎えに来るから。
それまでの・・・・サヨナラだ」
お兄ちゃんはそういって悲しそうな顔をして俺たちの前から消えた。