あの人は俺たちの兄だった。

「なぁ、梓、葎・・・俺と一緒に住もう」


臣さんは唐突に言った

一緒に住もう、それが俺たちにとってどれほど嬉しい言葉かこの人はわかっているのだろうか

それに俺たちは赤の他人

なのに、仲がいいからってそんなことする義理はないのに


「だめだよ、臣さん。その言葉はすごい嬉しいけど・・・あの家を離れたら兄さんが俺たちのいる場所わからなくなっちゃう」

「うん、梓兄のいうとおりだ。大丈夫だよ、臣兄。俺たちは臣兄が休みのたびにこうして泊めてくれるだけで十分だから」


臣さんは優しすぎる

俺たちのために何でもしてくれるし

でも迷惑はかけられない

今でも十分迷惑をかけてるけれど、もし俺たちがここに臣さんとすんだらあの人たちが何をするかわからない

臣さんにこれ以上の迷惑はかけたくない
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