あの人は俺たちの兄だった。


「いつもいつもてめぇーは俺たちをイラつかせてくれるなぁ!
 だが・・・これを向けられてもお前は平然といられるか?」

「・・・お前にそれが扱えるのか?」


新島は俺にナイフを向けにやりと笑っている

あの気持ち悪い笑み

うんざりする

ナイフなんて持っても・・・どうせこいつに俺を刺すなんていう度胸はない

俺はそのまま席に着こうとする


「ざけんなよ、てめぇ!」


新島はそういってナイフを持ったまま突っ込んできた

唐突に起こったことに体が反応しない

新島の体はそのまま俺にぶつかり二人で倒れこむ


「っ」


体が熱い

新島が起き上がり俺は自分自身の体がようやく見える

わき腹が赤く染まっている


「あっ、あぁっ、お、俺は・・・」


新島は自分で刺したくせに動揺していた
< 42 / 73 >

この作品をシェア

pagetop