あの人は俺たちの兄だった。


「大丈夫ですか?さされたという人は」

「こっちです!止血はしてますが血が止まらない!はやく、お願いします!!」


俺の周りに知らない大人がいる

その人たちが俺の体をゆっくりと持ち上げ担架にのせる

ゆっくりそれが持ち上げられ進む

揺れるたびに傷に響きが伝わり痛みに顔がゆがんだ

今まで感じなかった痛みが急に襲ってくる


「梓兄!」

「梓!」


救急車には葎と榛眞先生も乗ってくれて病院に向かった



*


「んっ」


目が覚めれば見知らぬ天井と壁だった

鼻につく薬品のにおい、嗅ぎ慣れた匂い


「いっ」

「動いちゃだめだよ、梓」

「榛眞・・・先生」


声のした方を見れば榛眞先生と葎がいた

刺されて俺は病院に運ばれた・・・記憶はそこまでしかない

でも今意識があるっていうのは生きてる証拠だ


「梓!」


一安心していればすぐにあわただしく病室の扉があいた





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