あの人は俺たちの兄だった。

「臣さん?」

「梓!大丈夫なのか!?」


仕事の途中なのかぴっちりと髪を整えスーツ姿の臣さんが息を切らしていた


「臣さん、仕事は・・・?」

「そんなことはどうでもいいんだよ!刺されたっていうけがは!」

「それなら大丈夫だよ、出血はひどかったみたいだけど命に別状はなし。
 一週間もすれば退院してもいいって言っていたよ」


榛眞先生がそう言うと安心したように臣さんは息をついた


「お前が刺された後の手当てをしてくれたらしいな、榛眞。ありがと」

「別に俺は何もしてないよ。梓が死んだら臣兄さんが悲しむと思ったからあせったけど」


榛眞先生は俺たちに見せたことのない顔を臣さんに見せる

ていうか今兄さんって


「どういうこと?」

「ん?あぁ、俺たち兄弟なんだ」
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