あの人は俺たちの兄だった。
あの時と同じだ
水族館で怒ってた臣さんと同じ顔をしてる
しばらく沈黙を置くと控えめなノックが聞こえた
それに俺がどうぞと答えると遠慮がちに校長と担任と新島親子が入ってきた
「た、瀧野、大丈夫か?」
「・・・」
大丈夫か・・・だと?
何もせず見てたくせに
病室の誰もそれに反応はしない
「このたびは、うちの息子が申し訳ありませんでした」
深々と頭を下げる新島の両親
それに口を開いたのは臣さんだった
「謝れば済むと思ってんのか」
「あ、あなたは誰です。瀧野の身内の方じゃありませんよね」
「身内じゃない?あぁ、こいつの両親ならどうせ連絡しても来ないよ。それと付け加えるなら・・・俺はこいつのちゃんとした身内だよ」