あの人は俺たちの兄だった。


臣さんは静かに校長と担任に言ったんだ

自分は俺たちの身内だと

俺たちに身内なんて・・・兄と実の父親がいることしか知らない

やっぱり臣さんは


「身内・・・瀧野に身内はいないはずじゃ」

「いますよ、ちゃんと。この二人とちゃんと血のつながった・・・
実の父親と兄の二人がいる」

「実の父親と兄・・・それじゃ、あなたは」


臣さんはしっかりあの人たちの目を見て確かに言った

俺のずっと探し求めていたことを


「俺は正真正銘、梓と葎の二人と血のつながった兄だ」


やっぱり・・・臣さんが兄だった

臣さんが・・・あの僕らのヒーローだったんだ

校長、担任、新島親子はそれを聞いて目を見開いていた

この人たちは俺たちに肉親がいたことなんて知らないんだ

いや、知ろうともしなかった・・・俺たちのことなんて

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