あの人は俺たちの兄だった。
あの日から一週間
予定通り俺は今日退院する
この一週間で叔母さんたちは見舞いに来るわけもなく過ぎた
「忘れものないなー?」
「うん、大丈夫」
今日から臣さん、もとい兄さんと住むことになった
学校も臣さんの通ってた母校に行くことになり、今通ってるところは明日おさらばだ
全部俺が入院してる間に手続してくれたらしい
新しく始まる生活に俺たちはドキドキしている
「叔母さんとこになんか大切なものとかおいてないか?」
「うん、ないよ」
「最後のあいさつは?する?」
「俺はしたい」
俺は兄さんの問いにそう答えた
あの人にいい思い出なんてない
でも世話になったのも事実
一言、けじめをつけたい
「そうか、わかった。行く前によっていこう」
兄さんはそういって笑って車を出してくれた