あの人は俺たちの兄だった。
「行こうか、梓、葎」
兄さんの一言に俺たちはうなずいて家に入った
相変わらずの酒臭い臭い
中には叔母さんとあの人がいた
久しぶりに二人の揃っているところを見た気がする
叔母さんは顔も合わせずあの人はこちらを睨んでいる
「いまさら何しに来た」
あの人は兄さんに向かってそういった
その顔は殴られた跡などぼろぼろで何があったのかなんてすぐにわかった
「俺が最後にきたいって言ったんだよ」
「あぁ?んでお前が、ここにいい思い出なんてありゃしねぇーだろ」
「確かにそんなものないよ、俺はけじめをつけに来た」
俺は大きく息を吸って言葉を吐き出した