キミと奏でる恋模様。



「学校って…編入試験とか受けなくちゃいけないと思うんだけど…」




今は8月である。

いくら日本で夏休み明けから編入と言っても試験とかはあるに違いない。
それくらいのこと長年フランスに住んでいるアリスにだって分かる。




『それなら心配は無用だ。試験などは必要ない。それにアリスの学力なら心配は要らないだろう』




「一体何をしたわけ……⁇」




『別に何もしてないぞ!少し寄付金出しただけでなっ‼︎』




それは「何もしてない」とは言わないであろう。




「はぁぁ…全く…仕方がないなぁ…お祖母様と離れるのは寂しいけれど…」




フランスに来たときから今までずっと同じ家に住んできたのだ。
いきなり離れるのは流石にさみしい。




『会いたくなったら会いに行けば良いだろう』




「…それもそうだね。それで、日本へはいつ帰ればいいの?」




『学校が始まるのが3日後だそうだ。フランス時間で明日の午後8時の飛行機をとった』




「……は、はぁぁぁ⁉︎明日⁉︎私、フランスから日本に引っ越すんだよ、荷物まとめる時間ないよ!」




『大丈夫だ‼︎…多分…あ、あと杏里も一緒だからな。詳しいことはメールするな。体に気をつけるんだぞ、バイバーイ』




「ちょ、ちょっとパパっ…‼︎」




昔からいきなり突拍子もないことを言い出す父親であったが今回のことは流石にアリスを怒らせ、慌てさせる原因にもなる。




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