君に甘える物語
「どうしてそんなに俺にケータイを持たせたいの?」

「だって、不便じゃない。声が聞きたいときとかさ」

「俺はこうやって君の顔を見ながら話すほうが好きだけど?」

そういえば、君が何も言えなくなるのも知っている。
そして少し照れたみたいにしょうがないなって笑ってくれるんだ。
僕はどうしようもなくわがままだから、声だけじゃ到底満足できそうになくて。
君の顔を見たいと思ってしまう。

怒った顔も。

笑った顔も。

拗ねた顔も。

照れた顔も。

全部、見たいって思ってしまう。

こんな気持ち、どんな言葉にすれば君に伝わるだろう?

いつだって文句を言いながらもこうやって僕のところに足を運んできてくれる君に。
僕はどうしようもない位、甘えているんだ。
君のことが愛おしくて。
君のことを大切にしたいと思う。

いつか、そう遠くない未来に僕は携帯電話を手にするだろう。

だからもう少しだけ、君とこんな会話をすることを許してくれないか?

君に甘えている僕。

そんな僕の隣にいてくれる君。

いつまでもこんな毎日が続くようにと、僕は君の髪をそっと撫でた。

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