裏の顔
「ま、昨日キスして正解だったって事だな。これだけひなが俺を意識してんだから」
「あんなことされて、平常心でいろって方がおかしいわよ!」
「だろ?それを狙ったの。俺は」
「…っ」
途端にグイっと体を近づけられ顔に手が触れた。そのせいでビクッと震えてしまった私。目の前で優くんがクスッと笑ったかと思うと唇をすぐさま奪われた。
おかしいよ…私。脳内が甘く変換されてしまって拒めない。それでもなんとか優くんの肩を強く押すとスッと簡単に離れた唇。
その時だ。ガチャっと部屋の扉が開いて私は我に返った。
「あれー、歌ってなかったの?」
「…あぁ、うん」
優くんは動揺することもなく目の前のコーラを飲み干す。私が優くんの隣からさりげなく離れると、その場所に弥生がすぐさま腰掛けた。
一瞬にして冷や汗をかく私。弥生、もしかして見てた…?
その後、弥生は私を問い詰めるような事はせず、ずっと優くんにベッタリでそしてそのまま2人で帰宅して行った。