不器用恋愛~好きな人は幼なじみ~




「そ、颯真に言うことじゃないし!」





「………………」





「………………」






むしろ、なんでそんなこと聞くの?
そんなこと、颯真に聞かれたくないし、教えたくもないのに。





"悠太、俺のオススメ。"






「あ………」






あぁ……そっか。







「……安心してよ。」





「は?」





「颯真が悠太くんをおすすめと言った理由、分かるから。
ちゃんと向き合うつもりだから。」





"颯真こそ、早く好きな人作りなよね…?"





"俺はいーの。"




あのキャンプの日のーー淡い記憶。






"お前より先に彼女作ったら、
お前一緒にいてくれる男友達いなくなるだろ。"






「わたし、もう颯真だけが男友達じゃないしーー
颯真の隣も、取らないよ。
だから……」





「……明里。」





「安心して彼女作りなよ!」






わたしは精一杯笑って、颯真の腕をバシバシとたたく。






前を向きたいって思ったから。
もう颯真を想うことはやめたいってーー
そう思ったから。





それに、お互い両想いだと知ってる2人が、大事な友達だからこそ、好きな人だからこそ……
幸せだと感じてほしいから。






だからーー






「悠里、すごい可愛いし!性格もすごく素直なんだよ!
わたしこそおすすめ。
颯真見る目あるよ!!
だから、絶対上手くいくーー」







……そう背中を押そうとしたのに。






「ちょっと……だまって」






颯真があまりに真剣な眼差しで、ひたすらたたくわたしの腕を掴むからーー





言葉を失ってしまった。






< 100 / 190 >

この作品をシェア

pagetop