不器用恋愛~好きな人は幼なじみ~
「そ、颯真に言うことじゃないし!」
「………………」
「………………」
むしろ、なんでそんなこと聞くの?
そんなこと、颯真に聞かれたくないし、教えたくもないのに。
"悠太、俺のオススメ。"
「あ………」
あぁ……そっか。
「……安心してよ。」
「は?」
「颯真が悠太くんをおすすめと言った理由、分かるから。
ちゃんと向き合うつもりだから。」
"颯真こそ、早く好きな人作りなよね…?"
"俺はいーの。"
あのキャンプの日のーー淡い記憶。
"お前より先に彼女作ったら、
お前一緒にいてくれる男友達いなくなるだろ。"
「わたし、もう颯真だけが男友達じゃないしーー
颯真の隣も、取らないよ。
だから……」
「……明里。」
「安心して彼女作りなよ!」
わたしは精一杯笑って、颯真の腕をバシバシとたたく。
前を向きたいって思ったから。
もう颯真を想うことはやめたいってーー
そう思ったから。
それに、お互い両想いだと知ってる2人が、大事な友達だからこそ、好きな人だからこそ……
幸せだと感じてほしいから。
だからーー
「悠里、すごい可愛いし!性格もすごく素直なんだよ!
わたしこそおすすめ。
颯真見る目あるよ!!
だから、絶対上手くいくーー」
……そう背中を押そうとしたのに。
「ちょっと……だまって」
颯真があまりに真剣な眼差しで、ひたすらたたくわたしの腕を掴むからーー
言葉を失ってしまった。