不器用恋愛~好きな人は幼なじみ~
なにかわたし、変なことを言ったーー?
「ははっ……」
急に颯真が自嘲気味に笑って。
「やっぱ俺ーー
最初から無理だったんだ。
もう……限界。」
「颯真……?」
颯真がわたしを見て、ぐっと腕に力を入れたときーー
「あら颯真くん!!
肉じゃが?わざわざありがとう!
いつも美味しいのよねー」
お母さんが玄関から元気よく出てきて、わたしの手から鍋をとった。
「わっ…お母…さん」
それと同時に、颯真がわたしから離れる。
「うちの母親が、この前の野菜美味しかったって言ってました。」
「でしょー?
知り合いの畑でとれたやつだもの!」
嬉しそうに笑うお母さんとーー
いつもの微笑みを浮かべる颯真。
"もう限界。"
あの言葉の意味は……
そのまま聞けなかった。