不器用恋愛~好きな人は幼なじみ~
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「あっつーい……。
ねぇ!
梅雨も明けたんだしさ、なんか夏っぽいことしようよー」
スカートを大胆に仰ぎながら、暑苦しそうにそう呟いたのは佐奈。
中に短パンを履いてる佐奈は、遠慮がない。
「お前、なんなの?
醜いものさらけだしたいの?」
「どこが醜いのよ!
ドキッとしなさいよドキッと!!」
「わり。無理だわ。」
「むっ…ムカつく…!!
その顔が腹立つ!!」
いつものように言い合う佐奈と颯真。
そんな2人を見ていると、わたしも笑いが込み上げてきて。
「こういうサバサバして男子にも媚びないところを含めて、佐奈なんだよ。」
「ま、佐奈にも明里にも、男を誘惑できる術はないな。」
「ちょっと!
なんでそこでわたしの名前が出てくるの!」
「だって真実だろ?
まぁ、明里のがいくらかマシか。」
意地悪く笑いながら言うその颯真の口をひねってやりたい…
って思うほど、颯真の態度はいつもと変わらなかった。
わたしの家に肉じゃがを持ってきたあの日。
なんだか様子がおかしかった颯真だったけれど、
あの日以来、いつもの颯真に戻っていた。
だけど、たったひとつ、わたしが感じている変化といえばーー
「明里。次の古典のノート見せて。」
「悠太くん、また写すの?
ダメじゃん!そろそろわたし、貸さないよ?」
「いいだろー。減るもんじゃないし。」
わたしのノートを手に取った悠太くん。
そのノートをーー
「……っ……!
なにすんだよ颯真!」
「取ったもん勝ちー」
舌を出してわたしのノートを悠太くんから奪うと、せっせと颯真は書き写していく。
あの日からーー…
颯真は、わたしと悠太君の会話の中によく入ってくるようになった。
こうやってノートを奪うことも日常茶飯事。