不器用恋愛~好きな人は幼なじみ~
よ、喜ぶ……!?
「ま、まさか!
わたしみたいな貧乳がこんなの着てるって、バカにされるのがオチだよ!」
「はぁ?
いやいや……
悠太くんはそんなこと言うキャラじゃないでしょ。
颯真じゃあるまいし。」
「……え。
あ…そっか…悠太くんか…」
なに考えてんだろわたし。
次に進むって決めたくせに……
無意識に、誰よりも颯真の反応を気にしてた。
気にしないといけないのは、別の人なのに。
「……あのさ?明里。」
「ん?」
悠里はまだ、試着室から出てこない。
「明里と悠里は、どっちも同じくらい大切な友達なのね?
あたしにとって。」
「………………」
「でも、昔から友達で、縁が深いのは悠里よりも明里だから……
明里の恋は、一番に応援したいと思ってる。
好きな人が、同じ人だとしてもね。」
「…………うん。」
「でも、明里は本当に、颯真のことはふっきるんだよね?
だったら……
あたしは颯真が好きだっていう悠里を、心から応援したいと思ってる。
悠里も、大事な友達だからさ。」
きっと佐奈は、同じ人へ向けた2人の恋の、どっちを応援していいのかわかんなくて、ずっと板挟み状態だったんだと思う。
どっちも友達だからこそ、どうすればいいかわからなかったんだ。
「わたしは、大丈夫。
悠太くんを見るって決めたしーー
それに、わたしにとっても悠里は、大事な友達だから。
……颯真だって。
だから、わたしも2人を応援したいと思ってる。
」
"頭ではね。"ってわたしが言うと、佐奈は「そっか」と笑った。
安心したように、微笑んで。
「それに…ね。」
「ん?」
「悠太くんから聞いたの。
颯真、悠里が好きなんだって。
夏祭りに告白…するって。」
「……そっか。」
驚かないのは、あの時のわたしと一緒。
簡単に、予想がついてたからなんだ。
「あ、明里ちゃん……!!」
そのとき、悠里がカーテンから顔をちょこんと出して。
背中のリボンが結べないと、わたし達にはない可愛らしさを出す悠里に、わたし達は走り寄った。